21年卒向け 企業説明会とインターンシップ(就業体験)、どっちが採用に直結する?
夏休みに入り、大学3年生にとっては来年の就活に向けて、本格的な準備を始める時期ではないでしょうか。
8月は夏のインターンシップが始まる時期で、秋のインターンシップは10月~12月にかけて開かれます。
学生が内定を取るためには、
「希望する企業のインターンシップを受けた方がいいのか」
「来年春に始まる企業説明会って何なの?」―。
今回はそういった就活生の疑問にお答えします。
見たい場所へジャンプ
インターンシップは採用に直結する?
インターンシップは企業説明会より採用に直結するのか。
結論からいえば、インターンシップの方が企業説明会より採用に直結します。
それなら
「よっし!!!
今から秋インターンに申し込もう!!」
と思ったあなた。
少し待ってください!!!
インターンは採用直結も、反対意見あり
主に日本の大企業などの経営者が集まる組織として、日本経済団体連合会(経団連)があります。経団連はこれまで、新卒採用のルールなどについて決めてきました。
経団連の「今後の採用とインターンシップのあり方に関する分科会」では、「インターンシップを通じて得た学生情報を採用活動に利用することについては、企業側、大学側ともに容認する意見と否認する意見がある」(分科会の中間とりまとめ)としています。
(参照元)https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/037.html
この分科会には大学関係者も出席していて、大学と企業双方から、インターンを採用と結びつけて良いのかのどうかについて、意見が割れています。
では、実際にはどうなっているのでしょうか。
採用選考を1月や2月に早めるルールに変更に、政府は反対
政府も、21年春に企業へ入社する学生を対象とする「就活ルール」についてインターンシップと採用選考が直接結びつかないよう、経団連や業界団体などに求めています。
ただ、実際には一部の大企業が、
大学3年生などを対象とした長期のインターンを、採用活動に結びつけているという実態があります。
企業説明会はなぜ3月以降なのか
21年春入社の学生の就活について、政府は説明会などの広報活動を3月からすることを決めました。
これまで経団連が指針を示していましたが、21年春入社の新卒社員への就活ルールは、政府が決めることになっています。
とはいっても、この企業が採用活動を1月や2月に始めても、政府はその企業を罰することはできません。
あくまで、「企業は採用の広報活動は3月以降に始めましょうね」と、政府が呼びかけているに過ぎません。
このことから就活ルールは「有名無実化」しているとも、指摘されています。
採用ルールの形骸化
実際に採用活動の開始時期は早まっているようです。就職情報の提供、求人・採用活動に関する企画提案などを手がけるディスコの調査では、面接開始は「1月以前~3月」が増えました。
さらに9割が選考解禁より前に面接を開始し、4月下旬に内定を出す企業の数が最多になっています。
学生に厳しい企業の声
同調査では今年の就活生に対して感じたことも企業に聞いています。
その中身を一部ご紹介します。
こうした企業の声を聞いてみると、インターンが内定に直結しているというよりも、
インターンなどに参加して早くから動いている学生と、就活を始めるのが遅い学生との間に差があることがうかがえます。
さらに、志望業種を絞りこみすぎているとの見方もあります。
企業説明会の特徴
ここからは、あらためて企業説明会について見ていきます。
企業が採用での広報活動が3月1日からできるようになるので、企業説明会は、多くの企業が3月から4月にかけて行うことになります。来年もこうしたスケジュール感になると見られます。
説明会は大きく三つに分かれる
企業説明会は大きく、
1.企業が単独(またはグループで)開く説明会
2.学内企業説明会
3.合同企業説明会
の三つがあります。
このうち『学内企業説明会』は通常、自分が通っている大学の先輩から本音が聴ける、実際の職場の雰囲気などを教えてもらえるというメリットがあります。
リクナビやマイナビなどの就職支援サービスを提供している会社が主催する『合同企業説明会』です。
合同説明会は、文字通り複数の企業が一つの会場でそれぞれ出展ブースを設け、それぞれ説明会を開くというものです。
合同説明会では志望業界を絞りすぎない
合同説明会では、会場に行ってから迷わないように、あらかじめ志望業界を絞り、関連のある周辺業界にも目配せをしても良いかも知れません。
採用ページを設けている企業も
ここ数年、「売り手市場」と呼ばれる就活生に有利な状況が続き、企業が会社のホームページとは別に、採用専用サイトを立ち上げる動きが目立っています。
19年7月末時点で確認されただけでも、トヨタ自動車、京セラ、JCB、日清食品、リコー、サントリー、雪印メグミルク、良品計画、リクルート、楽天、バンダイなど、大企業が採用サイトを運営しています。
ベンチャーでもSKY、ビズリーチ、アンファーなどが採用サイトを運営しています。
採用サイトを見ることで、その会社の特徴から福利厚生、研修・教育制度 勤務体系(出社時間帯やリモートワークのあるなし)などが分かります。
さらに社員インタビューなども載せています。
合同説明会に参加する方は、希望する会社の採用サイトがないか、よく確認しましょう。
企業説明会はインターンシップほど重視しなくていい?
ここで再び、インターンシップと合同企業説明会の話に戻ります。
結論から言えば、インターンシップは採用に直結することもあり、
合同企業説明会は採用にはさほど直結しないということになります。
まとめ
採用にあまり直結しないということは、合同企業説明会について、別の見方ができます。
例えば視野を広げるチャンスにもなります。総合商社志望であれば、専門商社の説明会に出ておくということもできます。
これにはメリットがあります。総合商社の内定がとれなくて、次に専門商社の採用試験を受けた時に、志望動機を聞かれても困りません。「合同企業説明会で御社のお話を伺ううちに、御社の商材に強く興味を持ちました」などと答えることができるからです。
面接では嘘を言ってはいけないのが鉄則です。付け焼き刃の志望動機では、「うちが第一志望じゃないくせに、適当なことを言って信用できない」ということになりかねません。
また、狭き門の出版業界が第一志望だったら、紙製品を扱う企業や、印刷・広告業を受けるというような手もあります。
はじめから第一志望をあきらめることはありませんが、合同企業説明会をすべり止めのように考えておくのも、一つの手ではないでしょうか。
インターンシップと合同企業説明会は性格が違うだけに、うまく使い分けられたらいいですね。