【人事が教える】最終面接に臨むメンタリティ
就活生のみなさん、こんにちは。京都の商社で人事をしている松永です。
みなさんの周りの友達や先輩で、最終面接で不合格になってしまった人はいますか?
僕は、そんな学生に何人も会ったことがあります。
人事をやり始めた4年前に出会った学生の中には、最終面接が9社ある中、9社とも不合格になってしまった学生がいました。
中には、最終前の面接を担当した社員から「絶対大丈夫だから、ほとんど受かるから」と言われたのに不合格になった人もいました。
さすがに、その学生の落ち込み方は半端じゃなかったです。
そんな学生から、僕が相談を受けたときにおこなったアドバイスを今回のテーマにしたいと思います。
(ちなみに、僕がアドバイスした学生は2人ともその次の最終面接で内定をもらって、そこに入社しました。)
なぜ最終面接で落とす?生涯年収と自分をあてはめてみる
就活するにあたって、生涯年収について考えてみたことがあるでしょうか?
大卒・大学院卒の平均だと2億円は軽くこえると言われていますが、企業は本人に支払う給料以外にもさらに別の費用もかかっています。
従業員の福利厚生や、パソコンなどの設備費用、教育研修費用(教育する人の人件費など)を企業は投じてきます。
そのあたりを加えていくと、もし自分が新卒で入社をして定年までいたとして3億円ぐらいにはなるはずです。
生涯1社という人は最近では減ってきたのかもしれません。でも、それは従業員側、つまりあなたが退職の意思を示した場合の話。
雇われる方が退職願を出さない限り、そうそう会社はクビにはできません。
日本では法律による解雇規制が強いので、よほどの状況でない限り会社側から従業員に「辞めてほしい」と伝えることは難しい環境になっています。
例外はありますが、原則はそうです。
ということは、最終面接で合格を出すというのは、「あなたに3億円ほど投資する覚悟があります」という会社の意思表明になります。
会社にとってはなかなか覚悟がいることです。
3人雇ったら、普通に10階ぐらいのビルが建つ計算です。本社ビルを建て替えることぐらい楽勝の計算になりますね。
ただ、人の未来は不確定です。入社後にどんな成果を出してくれるかわかりません。
特に新卒は今までに働いたことがなく実績がないため、会社側からすればかなりのギャンブルをするということになります。
「こいつに賭けよう」とか「この人を信用しよう」という覚悟を持って内定通知をするということです。
財務基盤が堅実なお金持ちの会社でないと、採用の質によって会社を大きく揺るがすことになるから本当に覚悟が必要です。
どんな人が最終面接で落ちるのか?(3億円の投資話)
みなさんが最終面接でするのは、3億円の投資のお話です。3億円を自分に預けていただければ、それ以上の価値を提供します。という話をしにいくということです。
その覚悟、ありますか?
「最終選考はみんな通るから大丈夫。」
そんな話を聞いて安心したいかもしれませんが、そういう状況ではありません。甘く見るとすぐに不合格になります。
特に経営者は、自社のことや自社のやっている事業を甘く見る人が嫌いです。
今まで僕が出会った学生の統計でいくと、「うまくやろう」とする人ほど不合格になっている確率が高いようです。
それはおそらく、「その人の良さ」が出ていなかったからじゃないかなと思います。
最終面接までに面接は複数回あり、そこで人事や部長クラスの人が面接をしたはずです。
その人たちは「最終面接で不合格にしよう」って思って通過させているわけではありません。
「この学生なら、自分たちと一緒に働ける」と思って通過させてくれたはずです。
自分たちが面接をした人の良さを見て、その良さをもって自社と合う、自社の人たちと一緒に仕事ができると判断をしています。
しかしその「良さ」が最終面接で出ない学生がいます。
「うまくやろう」と思うと、人は縮こまります。そして縮こまった結果、うまく伝えることができずに、不合格。
役員から人事には、「全然良いところがなかったよ。何で通過してきたの?」というフィードバックがきます。そこまでの選考をした人たちはみんな首をかしげます。「あれ? 何が悪かったんだろう?」と。
僕ができるアドバイス。サッカーにたとえて。
僕が出会った最終面接でたくさん落ちた学生。その学生は小学校から大学までサッカーをやっていたので、サッカーのPKで例えました。
「PKで1番決まる確率の高いところってどこか知ってる?」
答えは、左右の隅っこではなくて、真ん中の上です。そこを狙って蹴ることができたら確実に入ります。でも、緊張しているときにそんなところに人は蹴ることができません。そして、そこを狙ったらボールはゴールの上に外れてしまいます。じゃあどうすればいいのか。
答えは、キーパーをめがけて蹴ることです。しかも思いっきり蹴ること。
キーパーをめがけてゆっくり蹴るとキーパーに当たってしまいます。でも、キーパーをめがけて思いっ切り蹴るとボールは少し上に浮きます。その結果、1番入りやすい真ん中の上のコースに飛んでいきます。
「そういうことだよ」って伝えました。
決めたい!!って思って丁寧に丁寧に蹴るから外れるし止められます
。別のスポーツで例えると、ボーリングのスペア狙いの状況と一緒です。ボーリングは10ピンありますが、一投目で9ピン倒したときの二投目と一緒です。
丁寧に狙えば狙うほど微妙に外れたりします。普通に投げれば当たるのに、それができないのは、狙いすぎているから。
つまり、守るから負ける。
気持ちを込めて思い切り振り抜けば、うまくいくことが多いです。
それを1つ前の面接までやっているのに、最終で社長をはじめとする偉い人がいっぱい並んだらできなくなる。それは、その人の姿勢が攻めから守りに変わるからだと思います。
「自分のことを伝えよう」という気持ちが「見抜かれないようにしよう」に変わる。そんな姿勢の人を数億円かけて採用したいと思うでしょうか。
最終面接までにやることはシンプル。
最終面接を不合格になると落ち込みます。でも、落ち込んでいるのはあなただけではありません。
そこまで進めてくれた、面接官みんながあなたと同じように落ち込んでいます。
面接官は敵ではありません。あなたと一緒に働こうという仲間です。仲間の候補者として最終面接に送り込んだ人たちは、あなたと同じようにガッカリします。もっとやってくれると思ったのにって。
あなたがやることはシンプル。
自分の良さを「全力で」伝えるということ。思い切ってやり切るということだけです。それでだいたいうまくいきます。
自分のためだけでなく、それまでお世話になった人のためにもやり切ってください。
それで全てがうまくいくかはわかりませんが、僕が見てきた学生はみんなそれで何とかなりました。
大丈夫。あなたもきっとできます。