面接では第一志望だと伝える必要があるのか!?志望順位を聞かれる理由と対策について
よく就職面接で、「弊社が第一志望ですか?」と言われたら「第一志望です」と答えましょうといったマニュアルが見られます。その一方、本当は第一志望でも何でもないのにこんな嘘をついていいのかな・・・と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
本編では就職面接で自身の志望度に関わらず「御社が第一志望」というべきなのかについて採用側の立場でお話をさせていただきます。
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「弊社が第一志望ですか?」と聞かれたら「御社が第一志望です」と伝えるべき?
第一志望の企業であれば、「御社が第一志望です」と答えてるのは当然として、問題は第二希望以降の企業ですよね。
答えを先に言ってしまいますが、世の中で氾濫している「嘘でも第一志望」は「入社するかもしれない企業」であれば間違った選択ではないと思います。
「御社が第二志望です」は魅力的に映る可能性がある
ただ、第二志望群の企業に対して嘘をつくべきなのかというとそれは違います。なぜなら、あなたがちゃんと常識をわきまえて、人とコミュニケーションをとることのできる人材であれば、そんなことをしなくても内定を獲得することができるからです。
2017年にリクルートワークス研究所の調査では新卒学生の有効求人倍率は1.78という調査が出ています。つまり、理屈だけで言えば1人に1社~2社内定がでる計算となります。つまり、無理やり行きたくない会社に対して第一志望と言わなくても、良い学生であれば内定を出されるような社会状況になっています。
現在は誰でもいいから採用するというバブル時代のような採用活動は企業は行いません。ただし、あなたがしっかりとしたふるまい、受け答えなど社会人として常識的な対応ができる、ちゃんと受ける会社に対してしっかり調べ、自身が何がやりたいのかなどを明確に話せるということが大前提となります。
また、他の企業からも内定が出る人材というのは魅力的に映るものでして、強気な態度は企業に対して有利な関係性を築ける可能性があります。
「この子は内定出せば絶対来る」という学生よりも「しっかりフォローして口説かないと他に取られてしまう」といった学生のほうが積極的に採用したくなるものです。
嘘をつかずに「第二志望です」と言うほうがすぐに内定が出るケースもよくあります。
人事には採用目標がある!?採用人事の本音について
採用人事や面接官がなぜ自社の志望度について聞くのかという点についてお話をさせていただきます。結論から言えば、採用人事には「採用目標」というものが設定されています。
つまり、採用人事は経営からただ「いい人」を採用してくださいという指示は出ていません。「いい人」を「何人」採用してきてくださいという営業職のノルマのようなものが課せられているのです。
事実「新卒採用予定数」が掲載されている日経新聞の別冊をご覧になったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。あの採用予定数というのは、採用側からすれば「採用目標数」なのです。採用人事は面接をしながら常にそのプレッシャーと戦っているのです。
面接が複数回実施される背景は?エントリーシートから社長・役員面接まで行われる理由について
それだったら「第一志望」という良さそうな学生を2回くらいの面接で採用してしまえば早急に採用できるのではないかと考える方もいらっしゃるでしょう。実際社会人の転職面接では2回の面接、
実質1回の選考で選考が決まるというケースも少なくはありません。
しかし、新卒採用の場合だと、一般的には3~4回の面接、なかには7回といった非常に多くの面接をこなすケースもなかにはあります。なぜ、このような面接回数をこなすのかというと、2つの理由があります。
1:よい学生を確実に採用するという目的の元、厳選した採用を行うため
2:決裁者である社長・役員に1回で採用を承認。入社してもらうため
以下でそれぞれ詳細に説明をさせて頂きます。
1:よい学生を確実に採用するという目的の元厳選した採用を行うため
学生は社会人としての就労経験がないため、どれだけ活躍できるのかというのは未知数です。そのため、多くの学生と会い、良いと思った学生に対しては人事・現場。マネージャークラスのあらゆる社員のチェックを経て本当に良い学生を厳選して採用したいと考えています。
そのためには、面接回数を増やし、いろんな人に会わせて、あらゆる角度から真に良い学生を厳選するために、エントリーシートから複数回の面接を設定するようにしています。
2:決裁者である社長・役員に1回で採用を承認。入社してもらうため
会社員には決裁手続きというものがあります。これは、お金を使うこと、会社としての決め事が発生する場合に、最終決定を行う立場である社長・役員・本部長クラスからOKをもらうことをいうのですが、最終面接はまさにこの「決裁」なのです。
採用人事は、自身が良いと思った学生を採用したいと思った場合、役員からOKをもらうために、現場の担当者や自身の上司等に確認をとります。その確認こそが、最終面接までにいくまでの複数の面接だと考えてもらえたら良いです。
学生のみなさんも、最終面接をクリアし、内定をもらうために複数の面接をしているのですが、同様に企業の採用人事も、自身の目標達成をするため、最終決裁者の承認をもらうために複数の面接を実施しているものと考えておいてください。
人事が面接で第一志望かどうかを確認する意図は何?
では、人事が面接で第一志望かどうかと確認する意図はいったい何でしょうか。結論としては、早く目標達成をしたいから、よい学生で志望度の高い人材から採用しようというのがこの質問を採用側が行う意図となります。
そして、採用人事に対して「第一志望」と伝えましょうというマニュアルの本質は、企業側の人事に対して、私は御社が第一志望だから、内定を出してくれるのならあなたのノルマを楽にできますよということを伝えることができるということにほかなりません。
人事側は早急に採用を完了させ安心したい、また学生側は早く採用され、就職活動を終わらせて安心した生活を送りたいという双方の思惑が、「第一志望」という言葉に集約されているとお考えください。
まとめ
採用側も、優秀な人材は一人に対し、複数の内定を取得することはわかっています。そしてそういう人材は、第一志望と言わなくても勝手に内定がでます。そこまでの人材になりましょうとは言いませんが、自身、仕事、そして会社と向き合える人材で、しっかりコミュニケーションができる方であれば、あなたを見てくれる会社は必ずあります。
一見精神論に思えるかもしれませんが、新卒採用は育成して1人前に育て、会社の将来的な核となる人材を採用するための枠です。論理的思考力やビジネスマナーは後天的に身に付きますが、自身のやる気を見せる、しっかりコミュニケーションをするという当たり前のことをする意識・行動は教育以前のことです。
以上の点から、第一志望と嘘をつくか、つかないかということで迷う前に、自分が社会人として何をしたいのか、どのように将来的にキャリアを作っていくかを考え、なぜその会社に入りたいのかをしっかり伝えられるように考えることのほうが建設的であるといえます。
ただ、いくら第一志望だといってもあなたが伸びしろがないと判断がされなければ採用をされることはありません。逆に、第一志望でない場合だとしても、本当に採用したい人材であれば、「第一志望」かどうかというのはあまり関係がありません。むしろ、採用する側が、第一志望にしようとアピールをします。
以上のことから、第一志望というかどうか迷うのであれば第一志望と言いましょう。それが正しいと思わないのなら第一志望と言わなくても良いです。大事なのは自分のことを考え、その会社で働きたいのかを真摯に考え、それを伝えることです。それができるのであればあなたが長期にわたって活躍できる会社から内定がもらえることでしょう。ですので、「第一志望」という決まり文句に踊らされないこと、これが最も重要だといえるのです。